「お得意さんに顔を覚えてもらったり、こんな野菜を置いてみたら?などとアドバイスをもらったり・・・。」「自分の作った野菜が市場でどのように評価され、消費者の方に選んで買ってもらっているか、そのプロセスに直接係わることで、(何を作るべきか)(どう売っていくか)という戦略的なものが見えてきて、俄然農業が面白くなってきました」と宮田さん。
「次世代を担う若い世代の生産者たちで組織するファーマーズ同士の交流もとっても活気があって元気で刺激を受けます。」 都市近郊型農業を展開する木野地区ならではのマーケットから、自分たちの農業スタイルを展望し創造していく、宮田さんの農業の取り組みは、次世代農業の先頭を力強く走っています。
音更町長流枝地区で酪農業を展開する平尾さんの家では、約200頭の乳牛を飼育しています。最先端の酪農経営を目指す平尾さんは、平成18年に十勝管内でもまだ数軒しか導入実績のない搾乳ロボットを導入しました。ここでは牛がゆったりとした牛舎の中で自由に過ごし、乳房が張ってきたら自分で自動搾乳機械のところへ移動し、乳を搾られ戻ってくるというオートメーションの中で飼育されています。牛の健康状態や乳量、搾乳履歴などはすべてコンピュータでデータ管理され、24時間365日の重労働から解放された省力化経営を実現しています。
さらに驚くべきことに平尾さんの牛舎にはスクレッパーという糞尿を自動処理する機械が導入されています。1日8回、野球グラウンドで使われる整地器具を大きくしたような機械が牛舎の床を自動的に巡回し、糞を回収し、牛舎内は常にクリーンな環境が維持されます。 「人力だと糞の処理は1日2回が限度ですからね。スクレッパーを導入することで衛生面も向上し、そのことで牛の乳房炎も減って、牛の乳量アップにもつながりました」と平尾さんは笑顔で語る。
酪農は重労働というイメージを搾乳ロボットで一新した最先端経営システム。今では多くの酪農家、農業関係者が視察にやってきます。 平尾さんは後継者である息子さん夫婦とともに、今後はファームインのような体験型農業や、自家製ミルクを使ってチーズなどの付加価値の高い酪農経営にも視野を広げていきたいと、未来の夢も語ってくれました。
荻野稔弘さんの家は、小麦、馬鈴薯、豆類、ほうれん草、長ネギなど野菜を中心とした畑作農家です。ビニールハウスで多種多彩な野菜を作付し、近郊都市を中心に出荷しています。 荻野さんが花卉栽培を始めたのは3年ほど前、JA木野の相談員から町の特産品であるトルコキキョウの栽培を薦められたのがきっかけでした。花卉は野菜や他の作物との平行栽培が可能で、やりかた次第では収益も期待できると考えた荻野さんは、さっそく花の作付けに挑戦。しかし選んだ花はトルコキキョウではなく、デルフィニウムという主に店舗やオフィス等の装飾に用いられる大型の花でした。
「トルコキキョウは栽培に手間もかかり、初心者には少し難しい花なので、もっと自分の身の丈に合った花が無いかと思いまして。そんなとき、知り合いの農家にデルフィニウムをつくっている方がいて、それで種を分けてもらって作りはじめたんですよ。」と荻野さん。 「デルフィニウムは、欧米原産の花で寒さにも強く、背丈があり美しいブルーが特徴的です。ほかにもいろんな色はあるのですが、私もこの独特の青が好きで、ブルーにこだわってつくっています。」
「花は市場的に情報と戦略性が求められる商品なんですよ。それにウチは畑も狭く規模にも限りがありますからね。十勝型の大型機械化農業よりは、小さな耕地で手間をかけて育てた付加価値の高い作物を育てたほうが、収益面でもメリットがあるんです。」 「小さい農家は小さいなりの、アイディアと付加価値で勝負といったところでしょうか。」荻野さんの花卉栽培は今では全体の15%程度を占めるまでに成長し、現在は主に関東や関西方面に集荷されています。